「社会保障改革」について公明新聞のインタビューを紹介します


 少子高齢社会を見据え、小泉政権で年金、医療、介護などの社会保障改革が行われました。一連の改革は制度の持続可能性を高める一方で、一定の負担増も伴いました。わが国の社会保障を取り巻く環境や、公明党が政権に入り、どう改革に取り組んだかについて、井上義久政務調査会長(衆院議員)に聞きました。




危機的現状と改革の軸足

低所得者への配慮、随所に

年金積立金取り崩し、不妊治療など国の方針、大転換も




 ――わが国の社会保障を取り巻く環境は。



井上政調会長 2007~10年にかけて、「団塊の世代」を中心に戦後のベビーブーマー約1000万人が定年を迎え、世界に例を見ないスピードで高齢化が加速。25年の高齢化率は28・7%(06年版高齢社会白書)にまで上昇すると推計されています。



 一方で合計特殊出生率は過去最低の1.25(05年)を記録し、現状のままでは、今世紀末の人口は半数以下になります。



 こうした人口構造の変化は、社会保障給付の急速な増大をもたらし、それを支える現役世代一人ひとりの過重な負担が懸念されます。



 しかも、わが国の財政に目を向けると、毎年30兆円近い国債を発行し、国債の発行残高は542兆円に上っています。既に現役世代には膨大な借金が重くのしかかっているのです。



 こうした国の財政状況を月収49.7万円の家計<図参照>に当てはめると、既にローン残高が約6500万円ある上に、月30万円の借金をしながら生活している状態です。親子ローンであるため、ツケは意見を言えない子どもにも回され続けています。



 ――公明党は連立政権に入り、社会保障改革にどう取り組みましたか。



井上 バブル崩壊後の長引く景気低迷と高齢化を背景に、各制度の収支が崩れる切迫した状況下で、国民の“安心の基盤”である社会保障を次世代まで守り発展させるため、懸命に取り組んできました。



 一つのポイントは、現役世代が負担可能な範囲に給付を適正化することです。現役世代が負担に耐え切れなくなれば、現役世代の支援で成り立っている社会保障は土台から崩れてしまいます。



 しかし、そのような適正化を行うとしても、大切なことは、社会的弱者をどう守るかという視点です。従って、負担をお願いする中にあっても、公明党は低所得者への配慮を一貫して主張してきました。



 ――公明党の主張によって実現した低所得者対策、負担軽減策などは。



井上 介護保険では、年金収入が年80万円以下で他に収入がない方の保険料区分を新たに設け、保険料の負担を軽減したほか、医療と介護の負担を合算して軽減する仕組みを創設(08年度から)させました。



 公明党の主張により、今回の医療改革では、自己負担限度額が全体的に引き上げられる中で、低所得者は全世代で据え置かれました。02年の医療改革では、約230万人の高齢者の入院時の限度額が、月2万4600円から月1万5000円へと引き下げられました。



 また、入院時の自己負担限度額に関して、従来の償還払い方式、つまり、高額医療費が発生した場合に、まず医療機関の窓口で3割相当の全額を支払い、その後に申請して限度額を超える分の払い戻しを受ける方式を改めさせ、来年4月からは医療機関の窓口で自己負担限度額まで支払えば済むように改革しました。



 公明党が20年来、主張し続け、厚生労働省ができないと答弁し続けてきたものを変えさせたのです。厚労省の方針を大転換させた例では、04年の年金改革で積立金を取り崩して給付に充てる方式を初めて採用させたことも挙げられます。



 さらに、不妊治療への公的支援も公明党が厚い岩盤に風穴を開けたものです。



ムダ追放と給付の効率化

事業仕分けでコスト削減

負担と給付のあり方で国民的合意づくり




 ――相次ぐ負担増は国民生活にさまざまな影響を与えています。



井上 国民の皆さまに一定程度の負担をお願いせざるを得ないのが現実ですが、社会保障はセーフティーネット(安全網)であり、生活ができないとか、病院に行けないなどということがあってはなりません。持続可能であったとしても、低所得者を置き去りにしてしまったのでは何の意味もありません。



 この基本姿勢を堅持しつつ、暮らしに最も身近な地方議員の皆さんと連携をとり、常に実情をキャッチしてまいります。



 ――給付の効率化も進められています。



井上 給付のムダを省き、効率化を進めることは、国民全体の負担を軽減する意味でも重要です。



 しかし、財政が厳しいからといって、給付を一方的に引き下げればいいというものではありません。公明党は薬剤費の節約となる後発医薬品の使用を強力に推進してきましたが、こうした工夫も必要ですし、また、必要ならば国民全体で負担し合うことも含め、「負担と給付」の関係について、国民的なコンセンサス(合意)をつくることが大切です。



 <グラフ>は、04年の年金改革、05年の介護改革、06年の医療改革の効果を組み込んだ給付の見通しです。痛みを伴う、これだけの改革をやっても社会保障給付は増大し続けます。一連の改革を行わなかった場合、15年時点の社会保障給付は126兆円と見込まれます。改革を行った場合は116兆円であり、これは改革によって、国民と企業が負担する税または社会保険料が10兆円抑制されることを意味します。



 ――国民の負担を増やす前に、行政のムダや特権をなくすべきでは。



井上 公明党はムダや特権の一掃に全力を挙げてきました。



 なかでも公明党が「歳出削減の切り札」として主張しているのが、事業の要否や担い手を仕分けする「事業仕分け」です。この事業仕分けは7日に決定した国の骨太方針2006に反映されました。また、5月に成立した行政改革推進法で、国家公務員の5%以上の純減や、政府系金融機関と特別会計の整理合理化に道筋をつけました。



 そのほか、ムダな公共事業の廃止と入札改革によるコスト削減、永年勤続議員の特典廃止、公務員手当の適正化など、細部に至るまで数え切れないほどのムダを削減してきました。今後も手綱を緩めることなく、徹底してムダを削ります。



少子社会トータルプラン

「子育て優先」の社会築く

予防・自立支援と「支え手」の増加へ全力




 ――今後の課題は。



井上 最も大切なのは社会保障の「支え手」を増やすこと。もう一つは予防と自立支援です。



 支え手を増やすためには、子どもが増え、女性が仕事と子育てを両立でき、働き続けられる社会を築かなければなりません。(1)「仕事と生活の調和推進基本法」(仮称)の制定(2)非正規雇用者への育児休業制度や社会保険の適用(3)すべての家庭が利用できる保育サービスの提供――など、その処方せんは公明党が4月に発表した「少子社会トータルプラン」にまとめています。また、高齢者も生き生きと働き、社会参加できる環境整備が重要です。



 公明党は一連の改革で、医療と介護を予防重視型へと転換するリード役を果たしてきました。今後、効果的な予防プログラムの開発と、それを社会に定着させる国民運動を広げていきます。



 現在、障害者や母子家庭、生活保護者を対象にさまざまな自立支援の試みが展開されています。それを掛け声に終わらせるのではなく、真に自立へとつなげるシステムを社会全体で確立していかなくてはなりません。



 また、“負け組”を固定化させない再チャレンジ可能な仕組みづくりに全力を挙げます。



 公明党は、少子化対策を年金・医療・介護と並ぶ社会保障の柱に位置づけるべきだと一貫して主張。その結果、骨太方針2006では少子化対策の推進が最重要課題として位置づけられました。



 少子社会トータルプランを実現し、チャイルドファースト(子ども優先)社会を築きます。






関連記事

  1. 東日本大震災の発災から3年半 公明新聞インタビュー

  2. 公明新聞インタービューを紹介

  3. 「衆望」に応える闘い貫く ~公明新聞インタビュー

  4. 過疎集落対策について公明新聞のインタビューを紹介します

  5. 生活者の“安心”を拡大 ~公明新聞インタビュー

  6. 公明新聞からインタビュー