「がん対策基本法案」与党案について公明新聞のインタビューを紹介します


与党案を井上義久政調会長に聞く

国、自治体の取り組み強化

公明党も検討進め 具体策を基本計画に




 がん予防や治療研究を総合的に推進する「がん対策基本法案」が23日、自民、公明両党によって議員立法で国会に提出されました。

 法案には公明党の主張がしっかり盛り込まれており、今後の、がん対策の進展に大きく寄与することになります。

 そこで、法案の作成に携わってきた公明党の井上義久政務調査会長(衆院議員)に、公明党の取り組みや法案の目的、主なポイントを聞きました。





――公明党の、がん対策への取り組みは。



井上 公明党は、2年前に自民党とともに「健康フロンティア戦略」を策定しました。



 この戦略は、生活習慣病対策と介護予防の推進で、健康寿命を延ばすことを目的にしたもので、柱の一つに、がん対策を提唱しています。



 一方で公明党は2004年1月の衆院本会議で神崎武法代表が「強力な、がん対策を」と訴えて以来、何回となく国政の場で、がん対策を主張してきました。



 がんは、日本人の死亡原因の第1位で、3人に1人が、がんで亡くなっています。公明党が法案づくりに着手したのも、国民が健康で長生きするためには、国家戦略として、がん対策に取り組む必要があると考えたからです。



昨年6月、党独自で勉強会開始



 公明党は昨年(2005年)6月、「がん対策プロジェクトチーム(PT)」を党内に設置し、がん医療の勉強会や視察を行ってきました。その中で、いくつかの問題点が明らかになっています。



 例えば、手術で済む胃がんが減り、放射線治療が有効な、がんが増えているにもかかわらず、専門医が少なく、受診している病院に診療科がないために治療が受けられないケースや、がん患者が適切な情報を得られず治療方法を選択できないなどの現状があります。



 また、患者の中には、緩和ケア(緩和治療)ということを医師も患者も知らないまま、痛みに苦しみ、亡くなっていく人も数多くいます。



 こうした、がん患者の痛みや家族の苦しみを和らげるためにも、法制化を急ぐ必要があると考え、昨年(2005年)11月に党は「国民の声を反映したがん対策の推進に関する提言」を発表し、政府に申し入れました。



 今年(2006年)1月には、公明党のがん対策PTを格上げ・強化して「がん対策推進本部」を設置。神崎代表は同月24日に衆院本会議の代表質問で、私も2月6日の衆院予算委員会で、日本のがん対策の遅れている点として特に、緩和ケアや放射線治療の充実を主張し、日本版「がん対策法」の制定を提唱しました。



与党プロジェクトチーム設置で法制化を前進



 その一方で、法制化の準備を進め、公明党独自の法案要綱骨子を策定。3月28日の与党政策責任者会議で提示し、自民党と与党プロジェクトチームの立ち上げで合意。その後、与党PTで法案の条文化を進め、「がん対策基本法案」を今月(5月)23日に自民、公明の与党両党が議員立法で国会提出しました。



――この法案の目的は。



井上 まず、基本理念として3点を挙げています。



 1点目が、「がんに関する専門的、学際的または総合的な研究を推進する」として、特に放射線治療の場合は、がん医療の専門家だけでなく、理系・工学系の専門家の協力が重要であることから、公明党が主張してきた分野を理念に盛り込んでいます。



 2点目に、「居住する地域にかかわらず等しく科学的知見に基づく適切ながんにかかわる医療を受けることができる」として、がん治療の均てん化をうたっています。地域や受診病院の違いによって、5年生存率や治療格差をなくすことが極めて重要です。



 3点目に、「本人の意向を十分尊重してがんの治療方法などが選択されるようがん医療を提供する」として、セカンドオピニオンの体制も整備し、放射線治療も含め、がん患者が治療法を選択できることを明確にしました。



――法案の主なポイントは。



井上 法案には、国や地方公共団体、医療保険者、国民、医師の責務を明記しています。特に国民の責務では、喫煙や食生活などの生活習慣が健康に及ぼす影響が強いことを自覚し、がん予防に必要な注意を払い、がん検診を受けるなどの本人の努力を求めています。



 法案の基本的施策は、(1)がん予防および早期発見の推進(2)がん医療の均てん化の促進(3)がん研究の推進――の3本柱です。



検診の質向上、受診率アップへ



 がん予防および早期発見の推進では、喫煙や食生活習慣の改善や、がん検診の質の向上、受診率アップに取り組みます。



 がん医療の均てん化では、放射線による治療などの専門的な医師および医療従事者の育成とともに、「疼痛などの緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにする」という条文を盛り込みました。この「早期から」を入れることで、がん治療・緩和ケアのあり方を抜本的に変えることにしています。



 これまでのように緩和ケアを、末期がん患者の終末期の医療としてだけ行うのではなく、がんと診断された時から、その人らしい生き方が最後までできるよう、必要に応じて早い段階から緩和ケアを行い、がん患者の生活の質の維持・向上を図ることに重点を置いています。



 イギリスでは10年前から、緩和ケアを中心とした、がん対策に取り組み、これまでに3分の2の医師が緩和ケアの研修を終えているといわれています。



 また、がん登録については、個人のプライバシーの保護など、さまざまな意見があり、現在、地方自治体が進めている、がん登録の取り組みを支援することにしています。これを踏まえて公明党は近い将来、がん登録の仕組みを整備していきたいと考えています。



 さらに、がん研究の推進では、特に必要性が高い医薬品や医療機器の早期承認を推進する環境整備を進めていくことになります。



 以上のように、今あるがん治療にかかわる問題点、専門家や患者からの意見や要望はほぼ、この基本法案に盛り込まれたと思います。



――具体的な施策は基本計画で、ということになりますが。



井上 国の「がん対策推進基本計画」と、都道府県の「がん対策推進計画」を策定し、具体的な施策を推進していくことにしています。特に、国の基本計画については、国会への報告義務を課しており、閣議決定する形になるでしょうから、与党として積極的にかかわっていくことになります。



 そこで、公明党が主張してきた放射線治療の専門医や医療従事者の育成、緩和ケアの充実は、与党PTで合意していることでもあり、今後、基本計画の中にしっかりと記載していく道筋ができているのです。



 公明党としては、基本計画の中に盛り込むべき具体的施策の中身について引き続き、真剣に検討を進め、万全を期していく方針です。



公明の主張実る



・放射線普及で治療法選択可能に

・緩和ケア充実させ生活の質維持

・地方自治体の「がん登録」を支援






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