衆院本会議代表質問(要旨) 平成22年10月7日

衆院本会議代表質問(要旨) 平成22年10月7日


菅首相の政治姿勢をただす


うつろに響く政治主導、有言実行

昨日、日本人の鈴木章さん、根岸英一さんのお二人に、ノーベル化学賞が贈られることが決定しました。お二人に心よりお祝い申し上げます。

日本の科学技術、特に素材技術の底力を示す快挙であり、これ以上の喜びはありません。国としても科学技術振興に今、一層の力を入れるように求めます。

鳩山前総理の政権投げ出しを受けて菅政権が発足したのが6月8日。初の所信を受けて私が代表質問に立ったのは6月14日でした。その時、私は成長戦略や財政健全化の道筋を内閣として示さない責任、昨年11月に「デフレ宣言」をしておきながら、肝心のデフレを克服するための具体策を提示しない責任などをあなたに問いました。

あれから4カ月近くたった今、菅内閣は何をしてきたのかと、今、再び責任を問わなければなりません。この間、菅内閣は党内政局にかまけ、民主党代表選に追われて、円高・株安の急進展やデフレの深刻化など、国内外の重要課題に機敏に対応できず、政治空白を招きました。あなたからは総理の座に居座りたいという気持ちしか伝わらず、日本経済・国民生活を断固として守るという強い覚悟、意志が全く感じられませんでした。

総理、あなたは「政治主導」だとか「有言実行内閣」とおっしゃいますが、強調すればするほど、うつろに響きます。政治空白の間、地方経済はさらに疲弊し、国民生活は大変に厳しい状況にさらされています。総理はこの4カ月間、国民の生活を守るために具体的に何一つ実行してこなかったではないですか。この点、国民は冷静に見ています。

もう一つは、民主党が掲げる「マニフェスト」の問題です。代表選による菅・小沢対決は、文字通り、マニフェストの扱いをめぐる対立でした。「マニフェスト修正主義」と「マニフェスト原理主義」の対立は、国会議員についていえば民主党内を二分しました。

昨年の衆院選で掲げたマニフェストと今年の参院選で掲げたマニフェスト、あなたが実行するマニフェストはどちらなのですか。主要政策は修正するのですか。

参院選のマニフェストで消えた工程表はどうなったのですか。また、それらについて、民主党内のコンセンサスはできているのですか。

そのことで混乱すれば、迷惑を被るのは国民です。国民生活にかかわる重要なことなので、民主党のマニフェストの位置付けと菅内閣の方針を明確にしてください。


政治とカネ

「秘書がやった」許さぬ法改正 直ちに

この国会では、疲弊している地方経済や厳しい雇用情勢について、まず真っ先に議論すべきなのに、またしても、「政治とカネ」の問題を取り上げざるを得ないのは誠に残念です。

9 月14日、東京第5検察審査会は、小沢氏の資金管理団体の政治資金規正法違反事件で、「起訴すべきである」とする2回目の議決を行いました。今後、小沢氏は強制的に起訴されますが、政治家に対し適用されるのは初のケースであり、この事態を重く受け止めなければなりません。わが党は、まず小沢氏本人が、そして民主党自身も自浄能力を発揮して、国会で説明責任を果たすよう繰り返し求めてきましたが、一向に応じてこなかった。

説明責任を果たしていない点では鳩山氏も同様です。

鳩山氏は、予算委員会において関係資料の公表を約束しましたが、いまだに実行されていません。総理は、このまま公表しなくてもよいとお考えなのですか。

民主党が「クリーンな政治」を掲げて再出発するのであれば、総理は民主党の代表として、まずは小沢、鳩山両氏に対し、国会において証人喚問も含めて説明責任を果たすよう指示し、党としての自浄能力を発揮すべきだと考えますがいかがですか。

所信表明演説において、総理は「クリーンな政治」が「私自身の政治活動の原点」と言われました。それならば、この臨時国会で「秘書がやった」との政治家の言い逃れを許さないために、政治家への監督責任を強化する「政治資金規正法改正案」を直ちに受け入れ、成立させるべきです。併せて、企業・団体献金の全面禁止も早急に実現させるべきです。

これまで再発防止策については、与党は全く積極的ではありませんでした。今国会で決着をつけるべきです。総理の決意を国民に示してください。

さらに、現在、月割りで支給されている歳費を日割り支給に変更するため、8月の臨時国会では、わが党は「国会議員が歳出削減の先頭に立ち、自ら身を削るべき」と議論をリードしてきました。与野党合意に基づき、日割り計算で当選前に当たる部分の歳費を自主返納できる特例措置が実現、実施されました。また、これと併せて、「国会議員歳費の日割り支給へ歳費法を抜本的に改正する」との与野党合意も取り付けました。

この臨時国会ではぜひとも、実現すべきです。


菅内閣の経済財政運営と経済の現状認識

政治空白招きデフレ、円高を助長

菅内閣の経済政策について伺います。現下の急激な円高をはじめ日本経済を取り巻く環境が非常に厳しく、一瞬たりとも気を抜けない重大な局面に差し掛かっています。

まずは、8月以降、1ドル=80円を割り込みかねない勢いで進んだ急激な円高ですが、デフレが深刻なわが国にとって、それに追い打ちをかける非常事態です。

さらに足元の経済も、本年4―6月期の実質GDPは2次速報では0.4%、名目GDPに至ってはマイナス0.6%と景気は減速し、デフレ脱却の道筋は見えてきません。加えて、エコカー補助金が9月で終了するなどこれまでの景気対策の効果が減殺される中で、景気の先行きは一層不透明になってきました。

私は、日本経済のターニングポイントは8月であったと思います。この時、民主党は何をしていたのか。代表選挙、党内政局にかまけていたのです。金融政策においても日本銀行の対応は鈍く、結果としてデフレと円高をさらに助長してしまいました。

代表選挙の影響かどうか分かりませんが、総理も、財務大臣も、全く本気度が見受けられない“口先介入”を繰り返すばかりで、内閣としての明確なメッセージが皆無に等しい状況が1カ月近く続きました。この民主党自身が招いた政治空白、まさしく「モラトリアム」が結果として、日本経済をより一層厳しい状況に追い込んでしまいました。この責任は極めて重大です。

地域経済は本当に疲弊しています。ある自動車メーカーの下請け企業は「エコカー補助金が終わり、メーカーの生産調整で受注量が激減。加えて、円高を理由にコスト削減を迫られているが、原材料は値下がりしていない」と悲鳴を上げています。

また、ある革製品を扱う中小企業は、今春の口蹄疫問題で輸出品価格が暴落した上に、今回の円高で「このままでは、国内の業界は全滅だ。うちもダメかもしれない」と苦しい胸の内を明かしていました。

揚げ句には、円高によって仕事がなくなり、海外移転を真剣に検討し始める企業が増えており、国内産業そして雇用の空洞化の懸念は、足元から迫ってきているのです。総理、これが現実の声です。

若者をはじめ雇用情勢も依然として厳しい。加えて、日中関係をはじめ外交問題の影響が経済にも波及しかねない状況にあります。

なぜ、こうした事態に至ってしまったのか、総理、民主党政権は、もっと「現場」をよく見て手を打つべきです。「現場」を歩いて対策を真剣に考えていないから、あらゆる対策が後手後手になってしまうのです。

まさに、民主党政権が招いた“政治不況”ではありませんか。

日本経済の実情および民主党政権が招いた政治空白の責任を、総理はどう認識しているのか伺います。


円高対策、経済対策について

国民・企業を守る覚悟も気概もなし

円高対策について伺います。

財務省・日本銀行は、9月15日、日本単独による為替介入を実施しました。その効果もあってか、一時は1ドル=85円まで戻したものの、現在は、82円台後半から83円台で推移しています。

私は、単独ではあるものの日本政府の「これ以上の円高は許さない」とのメッセージを内外に示すという点では、為替介入そのものには意味があったと評価します。

しかしながら、官房長官は為替介入による為替の防衛ラインが82円台だとの認識を示しました。さすがに財務大臣は否定しましたが、政権内で繰り広げられる “くい違い”発言に、国民はうんざりです。まさに政府として、国民・企業を守ろうという覚悟も気概もない危機感の欠如そのものではないですか。

現時点で、特に輸出企業が採算ラインとして想定しているレートは、1ドル=90円くらいです。にもかかわらず、政府は、円高基調が明白になり、そして1ドル=82円台になるまでなぜ手を打たなかったのか。あまりにも遅きに失したのではありませんか。もっと早い時期に円高基調が明確になった時点で介入していれば、一層の効果があったのではないか。「82円だから介入」という政策的あるいは政治的な根拠はないはずです。総理の円高対策に対する認識と今後の対応について、答弁を求めます。

急激な円高を阻止するには、国際的な協調体制の確立が望ましいことは言うまでもありません。現実的に主要国が自国通貨安を容認・放置している現状では難しいものの、G8やG20などを通じて、日本の状況を説明し、理解を求める努力が不可欠です。

日本銀行は、5日の金融政策決定会合で追加的な金融緩和策として、実質ゼロ金利政策の実行、さらには長期国債や不動産投資信託などの金融資産の買い入れを含む異例の措置を決定しました。率直に評価しますが、金融緩和の効果が早期に発揮されるよう万全の措置をとるべきです。これまでの政府と日銀による経済財政運営を見るにつけ、両者の連携不足によって対策が後手に回っているとの印象を否めません。

今後は、政府と日銀がデフレ脱却という目標を共有しつつ、政府の対策とあいまって、日銀が適切に金融政策を講じることが重要です。そのため、「日本版物価目標政策」を導入し、政府および日本銀行が協調して政策を講じる枠組みを作るべきだと考えますが、総理の金融政策に関する基本的認識を伺います。

経済対策について、菅内閣もようやく重い腰をあげました。

9月24日に「予備費」9200億円弱を活用した、経済対策の具体的内容を閣議決定しましたが、あまりにも遅すぎます。そして、あまりにも小さすぎます。

また、27日には、菅総理の言うところの「ステップ2」に移行し、補正予算編成を指示しました。これまで何もしなかったのに急に動き出した。あたかも“切れ目なく対策を講じている”という政府の姿勢を懸命に示そうとしているのでしょう。

予備費の活用の決定の24日から27日までのわずか3日の間に、補正予算編成の指示をするほどの劇的な経済的変化があったのですか。

むしろ予備費の活用という逐次投入的な手法をとらず、もっと早い時期に堂々と補正予算編成を指示すべきではなかったのですか。まさに、場当たり的な対応そのものではありませんか。

しかも、先般の所信表明演説でも、政府としての経済対策の目的、対策の規模などの考え方は示されず、与野党に協議を求めるのみでした。総理の言葉からは、日本経済をどうするかという政府としての矜持や、責任感が全くうかがえません。

まずは、政府の考え方を速やかに提示し、早く国会提出すべきです。補正予算の規模や具体的方向性、財源等についてどのように考えているのか、総理の答弁を求めます。

当面の経済財政運営もままならない中にあって、これから平成23年度当初予算の編成が本格化してきますが、民主党政権で果たして大丈夫でしょうか。

これまでも申し上げてきたとおり、民主党政権には、明確な中長期の財政健全化、成長戦略、特に当面のデフレ脱却に向けた道筋について、「目標程度」のものは示したつもりでしょうが、具体的な形として、全く見えていません。特に、経済の司令塔不在の状況は相変わらずであると指摘せざるを得ません。

【緊急経済対策の提案】

この臨時国会で、最優先すべきは、言うまでもなく景気・経済対策の断行です。私どもは菅政権が招いた政治空白の間も、徹底して現場を歩いてきましたが、急激な円高・株安が進行し輸出関連企業や中小企業経営者からは悲鳴が上がり、国民生活は危機にさらされています。こうした国民の声を受け止め、生活の安心を取り戻すための即効性のある緊急経済対策として、すでに五つの観点から提案しています。

地方の活性化

第1は、地方経済の活性化です。

そのためには地方が持つ知恵・資源の活用や仕事の創出など、各自治体が地域事情に即して行う事業支援に、スピード感を持って大胆に取り組む必要があります。そこで、地方への臨時的な財政措置として「地域活性化臨時交付金」を創設すべきです。地方の実情に応じた事業を積極的に実施することで、地域の中小・零細企業等を支援し、経済の活性化を図るべきです。

また、民主党政権は厳しい経済状況であるにも関わらず、1年間で18.3%もの公共事業費を削減し、地域経済に大打撃を与えました。公共事業は地域における雇用の大きな受け皿ともなっており、極端な削減は地域の経済と雇用に悪影響を及ぼします。

こうした、民主党政権による極端な政策から地域経済を守るために、橋梁や下水道の老朽化対策や道路のミッシングリンクの解消、幹線道路の整備、ゲリラ豪雨対策、学校や病院の耐震化など、真に必要な社会資本整備を前倒して実施し、地域の雇用を確保すべきです。

雇用対策

第 2は雇用対策です。今春、卒業した大学生のうち未就職者は3万2000人、新卒の未就職者対策は急務であります。また、いわゆる「就職留年」者は7万 9000人とも言われています。公明党はいち早く、「卒業後3年間は『新卒』扱いに」と主張してきましたが、政府の動きは鈍いと言わざるを得ません。未就職の卒業者を採用した企業に対する奨励金の実施に早急に取り組むべきです。

加えて、「ふるさと雇用再生特別交付金」と「緊急雇用創出事業」の第2弾を実施し、地域の知恵と資源を生かした緊急的な雇用創出に取り組むべきです。

中小企業対策、金融支援など


第3は、中小企業への支援です。円高・株安にともなう景気の不透明感は、年末・年度末の資金繰りにも不安を与えています。緊急保証制度の延長や保険料の引き下げ、金融円滑化法の延長など、中小企業金融支援を切れ目なく実施すべきです。

また、法人税率の引き下げなど、わが国の企業立地競争力を高めるための施策とともに、成長分野の事業に取り組もうとする中小企業を支援するため、官民ファンド(産業革新機構)をフル活用し、リスクマネーの提供を積極的に行うべきです。

新しい福祉の実現に向けた環境整備

第4は、「新しい福祉」の実現へ向けた取り組みの強化です。うつ病、児童虐待、DVなど、心の病の克服や一人暮らしの高齢者の生活支援など、新たなリスクに対応できる体制の整備は喫緊の課題です。介護従事者や事務職などの給与の改善も急がねばなりません。

そして、医師不足など、地域医療の閉塞状況の打開に大胆に取り組むことが重要です。

私たちが与党時代に編成した21年度補正予算では、地域の医療再生や医師確保を支援するため、総額3100億円の交付金を盛り込みました。

しかし、民主党政権はこの予算を事業仕分けで、750億円分も執行停止しました。

その結果、産科・小児科医の確保や地域医療の再生を計画していた自治体は大打撃を受けました。執行停止した分は直ちに復活させるべきです。加えて、医師の地域偏在、医師不足解消に向け、適正配置を行う調整機関「国立医師バンク」を創設すべきです。

環境対策の推進による需要喚起

第5に、環境対策を進めることで地域の需要を喚起させることです。

例えば、環境に配慮したリフォームに対しても、「住宅エコポイント制度」の対象にするなど、中古住宅・リフォーム市場を大きく拡大すべきです。また、来年の 7月には地上デジタル化に完全に移行しますが、その支援強化として、家電エコポイントを来年度も延長すべきです。さらに、電気自動車の普及と充電インフラの整備や、公共施設等への太陽光発電施設の設置を積極的に拡大することも、地域の需要喚起に大きく貢献します。

行政改革の推進

天下り、ムダ根絶へ真の独法改革を

公務員制度改革について伺います。

民主党政権は、昨年の衆院選マニフェストで、天下りあっせんの全面禁止、国家公務員の総人件費2割削減などを国民に約束しました。ところが、先の通常国会では、大幅に後退した「天下り自由化法案」ともいえる改正案を提出してきました。

一方、通常国会閉会後に閣議決定した「退職管理基本方針」は、独立行政法人などへの現役公務員の天下りを容認するなど、民主党にとって「改革の1丁目1番地」だったはずの「天下りの根絶」を断念した内容でした。

政府はいったい公務員制度改革に関する全体像や工程表をいつ示すのですか。総人件費2割削減はどう実現するのか。労働基本権付与の問題を含め、答弁を求めます。

公務員等による税金の不正使用について、国あるいは地方公務員による「裏金づくり」は後を絶ちません。公明党は今年4月、公務員のみならず公金が投入されている独立行政法人等も対象に含めた、「不正経理防止法案」を提出しました。総理は行政府の最高責任者として、公務員等による税金の不正使用を根絶させる立場にあります。この法案を再提出しますが、総理は当然、この法案の趣旨にご賛同いただけると思いますが、いかがでしょうか。

独立行政法人改革について伺います。

国家公務員の天下り先、ムダ遣いの温床などの指摘がなされている独立行政法人改革は急務です。私たち公明党は、現在の独立行政法人制度そのものを廃し、現在 104ある法人を、廃止、民営化、国への移管、特別の法人の四つに仕分けする抜本改革案を本年6月、国会に提出しましたが、審議未了で廃案となりました。真の独法改革を行うためには、わが党の法案の成立が不可欠であると考えます。


中国漁船衝突事件めぐる日本政府の対応

外交的敗北とも評される結果に

目下の最大の懸案事項は日中関係です。

尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐる民主党政権の場当たり的な対応によって、日中関係が大きく損なわれただけではなく、結果的に「日本は圧力を加えたら屈する国」という誤ったメッセージを内外に与えてしまいました。

総理はこの点について、どのように認識されているのか。

また、尖閣諸島は日本固有の領土であるという日本の立場のアピール力も極めて弱かった。さらに、民主党政権には、外交に不可欠な「事態を打開する交渉力」「外交力」が欠如していると言わざるを得ません。もっと早い段階から、あらゆる外交チャンネルを使って問題解決に全力を挙げていれば、今回のような外交的敗北とも評される結果にはならなかったとの厳しい指摘もあります。

この政治責任は重大であると思いますが、総理はどのように受け止めているのか。

中国人船長の釈放について、那覇地検の次席検事は、「中国との関係や日本国民の利益を考えて釈放を判断した」とその理由を述べました。そもそも検察は法と事実に基づいて判断すべきであって、なぜ検察の権限でこうした判断になったのか、極めて疑問です。

政治的な介入があったとすれば、事実上の指揮権発動であり、内閣の責任は極めて重い。他方、これだけ日中間の外交問題になっていたにもかかわらず、「検察の判断を了とした」との政府の説明だけでは、あまりにも無責任であり、国民の疑問にも答えていません。国民に対して、きちんと説明すべきです。

また、いまだ拘束されているフジタ社員1人の早期釈放を政府として強力に働きかけるべきです。政府の具体的な取り組みを伺います。


当面する重要政策課題

戸別所得補償制度について

次に、戸別所得補償制度について、22年産米の収穫が最盛期を迎える中、全国で新米の価格が大幅に下落し、農家は不安を抱いています。政府は、モデル事業を始めるにあたって「米の需給は引き締まる」と豪語していましたが、結果は引き締まるどころか緩む一方です。コメ価格が下がり続けて、本当に変動部分は約束通り払ってくれるのか。

現場の農家からは「これでは米づくりの意欲を失う」「米は主食だといいながら産地がないがしろにされている」など、悲痛の叫びが聞こえてきます。こうした声に応えるためにも、出口対策として30万トン程度の緊急買い入れや、棚上備蓄の早期実施などを早急に行うべきです。

さらに、日本の農業を発展させ、持続可能なものとするためには、担い手や専業農家の育成につながるよう、産地ごとの再生産価格が確保できる経営安定対策と、環境直接支払いの拡充が必要です。全国一律の所得補償制度は早急に見直すべきです。

猛暑等による農水被害と口蹄疫被害への対応

次に、今般の異常気象による農業・水産業被害への対応について伺います。

今年は、春先までの日照不足と5月以降の猛暑により農作物が軒並み不作に見舞われています。野菜の価格は高騰し、家計を直撃、農家にとっては、収入減は免れられません。

猛暑・酷暑による作物の減収にも農業共済が適用されるよう要件を緩和するなど具体的な対策が必要です。

さらに、漁業においても海水温の上昇による被害が出ており、特にホタテなど養殖業への被害は深刻です。魚価の安定対策など漁業者の所得補償も推進すべきです。

また、宮崎県の口蹄疫被害に対し、支給される手当金については、非課税扱いとする税制改正を早急に実現させることとともに、わが党の主張で特措法に盛り込んだ基金を1日も早く設置し、地域の実情に即して復興のためにも使えるよう使途を拡大すべきです。

高額療養費、がん、うつ病対策の推進

次に高額療養費制度の見直しについて、難病やがんなど、高額な治療を継続されている方のさらなる負担軽減が求められています。

特に負担感が強い70歳未満で年間所得300万円以下の世帯の負担上限額を、現行の約8万円から約4万円に半減すべきです。また、二つ以上の医療機関にかかった場合も合算できるよう見直すべきです。

若い女性に急増している子宮頸がんは、ワクチン接種と検診で予防がほぼ100%可能な「がん」です。これまで、ワクチンの早期承認が実現し、ワクチン接種への公費助成や検診の無料クーポンなども不十分ながら進んでいます。こうした予防策の恒久的な事業化をめざすために各党にも呼びかけて子宮頸がん予防法案を臨時国会に再提出します。

予防法案も含め、政府の子宮頸がん予防の取り組みについて、わが党は全国で約250万人とも言われる「うつ病」で悩む人の声を深刻に受け止め、治療方法として効果的な「認知行動療法」を推進し、本年4月より保険適用となりました。

しかし、実際は専門家の数も少ないうえに、保険適用されるのは医師の治療の場合だけで、普及がなかなか進んでいません。

今後、精神科医や心理職などの専門家の育成と、精神科医だけでなく、心理職などとのチーム医療に対しても保険適用を可能とするよう改善すべきです。

検察の信頼回復

さて、大阪地検特捜部の現職検事による証拠改ざん事件は、刑事司法の根幹を揺るがす前代未聞の不祥事であり、極めて遺憾です。

この事件は、大阪地検の前特捜部長、副部長の逮捕という検察史上例のない事態にまで発展し、検察に対する国民の信頼を失墜させてしまいました。特捜部の組織的な関与があったならば、極めて深刻な事態です。

徹底した捜査で事件の全容解明を急ぎ、速やかに国民に真相を公表すべきです。併せて、再発防止に向けた抜本的な検察改革が急務です。今回の事件を機に、取り調べの全面可視化なども視野に入れた捜査手法改革についても議論を行うべきと考えます。

社会保障の与野党協議を提案

本来、年金、医療、介護等の社会保障制度は国民生活の根幹にかかわる最重要施策であり、政権交代があったからといって簡単に変えるべきものではありません。

わが党は国民の安心を確保するために、社会保障ビジョンの取りまとめを進めています。年金・医療・介護・子育てなどの分野について、負担と給付を含め、トータルなビジョンを提案したい。

これまで民主党は、最低保障年金をはじめ、高齢者医療制度も廃止するといいながら、いまだに具体案を示していません。政権与党として、社会保障制度の具体策をきちんと示し、国民の将来の安心を確保するため「社会保障に関する与野党協議会」を設置すべきと考えます。

総理は、「熟議の国会」と言われましたが、まずは自身が掲げる「有言実行」の「有言」の中身をより具体的に示さなければ、議論にもなりません。残念ながら総理の所信からは、国民生活を立て直すための改革像や、それを実現するための気迫が私には伝わってきませんでした。政治は国民のためにあります。公明党は国民の声を真摯に受け止め、国会における真剣な議論を通して、国民生活を守り、国益を守るために、全力で闘うことをお誓いし、私の質問を終わります。



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