平成18年2月6日 衆議院予算委員会質疑 会議録


○井上(義)委員

公明党の井上義久でございます。

 私は、冒頭、総理に二点お伺いしたいと思います。

 一点は、官製談合疑惑事件でございます。

 防衛施設庁をめぐる入札談合事件に施設庁の幹部職員が関与していたという、まことに遺憾な事件が起きました。いやしくも、防衛庁は国の安全保障をつかさどる官庁であり、国の安全保障というのは国民の信頼がなければ成り立たない、そういう意味で、防衛庁は猛省をしてもらいたい。そして、額賀長官の決意にもありましたように、これまでたまったうみを全部吐き出して、施設庁を解体するつもりで、二度とこのような事態が起きないよう再発防止策を早急に取りまとめ、国民の信頼回復に努めていただきたい、このことを冒頭強く申し上げておきます。

 再発防止のために、与党といたしましても、官製談合防止法の強化を目指して今協議をしておりまして、この国会にも改正案を提出したい、このように考えておりますけれども、この官製談合防止について総理のお考えを承りたいと思います。



○小泉内閣総理大臣 昨年十二月に、与党、自民党、公明党で、官製談合防止、今までの法律でいいのかどうか、談合事件が相次いで摘発されておりますので、よく自民党、公明党、現状でいいか、改善策はどうあるべきか協議してほしいと指示していたところでありますし、最近の防衛施設庁の問題を見ますと、やはり改善策が必要だなと。こういう事件が相次いでいるという反省も踏まえて、今後、問題点を自民党、公明党でよく整理していただきまして、公共工事の入札契約の改善策等をよく整理していただいて、再発防止策、一層強化するようにぜひともまとめていただきたいと思っております。



○井上(義)委員 もう一点、イランの核問題でございます。

 IAEA緊急理事会が、イランの核開発問題に関しまして国連安保理に付託をする決議案を採択いたしました。イランはこれに大変反発をしておりまして、ウラン濃縮活動を進め、IAEAによる核査察を制限する考えを表明しております。国際的に大変緊迫した状況となっているわけでございます。

 今後、我が国としても、国連やIAEAとも緊密に連携をとりながら平和的な解決を目指すのは当然ですけれども、それに加えて、我が国とイランは古くから交流をしてきていることを考えますと、政府特使を派遣するというようなことも含めて、我が国としてもあらゆる外交努力を行うべきだ、このように考えておりますが、総理の見解はいかがでございましょうか。



○小泉内閣総理大臣 IAEAにおきまして、イランの核開発の問題については、理事会での問題となって、決議が採択されました。

 我が国とイランというのは、今までも友好的な関係を維持しておりましたし、また、将来のエネルギー等の関係を見ますと、大変重要な、影響力のある国であります。

 そういう中で、イランが国際社会から孤立しないように我が国としてもできるだけの働きかけを行っていかなきゃならない。麻生大臣も、イランの外相とも電話会談を通して、国際社会からの懸念に対して誠実に対応して、孤立しないようにという働きかけも行っているところでありますし、今後とも、我が国としてできること、そして、国際社会と協力して、イランが孤立を避けるような働きかけをいろいろな点からしていきたいと思っております。



○井上(義)委員 特使を派遣するということも一つの手だと思いますけれども、この点については、総理、どうでしょうか。



○小泉内閣総理大臣 特使はどうかも含めて、さまざまな働きかけがあります。また、イランの政府の高官も日本を訪問するということもあります。各方面からの働きかけが必要だと思っております。



○井上(義)委員 次に、昨年末から日本列島は記録的な大雪に見舞われまして、雪おろし中の転落事故を含めまして、百十八名を超える方が亡くなるという大変甚大な被害をもたらしたわけでございます。まず、お亡くなりになられた方々の御冥福と、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 昨日も、北東北三県、青森、岩手、秋田の知事さんとも懇談をしたんですけれども、被害は極めて甚大でございます。

 そこで、まず冒頭お願いしたいことは、この豪雪により多大な被害を受けた地方公共団体に対して、雪害から住民生活を守るための資金需要、これはもう例年の一・五倍から二倍でございます。それに対応するために十分な予算措置を講じていただきたいということでございます。特に特別交付税ですけれども、除排雪の費用の支援あるいは雪おろしの経費など、交付対象をできるだけ幅広く適用して手厚く交付をしていただきたい、まずこの点を政府に強く要請するものでございます。

 あわせて、県道、市町村道の除雪についても、国交省いろいろ御努力していただいておりますけれども、今後さらに積雪が予想されるということで、今後予想される被害に対しても、予備費等十分に活用して予算措置を講じていただきたい。総務大臣、国交大臣にお伺いをしたいと思います。



○竹中国務大臣 雪害に関連して、地方に対する財政措置、できるだけ幅広く、手厚くという御指摘でございます。とりわけ特別交付税、大変重要だと我々も思っております。

 今回、大変深刻な被害が広がっているという認識を持っておりまして、道路等公共施設の除排雪、さらには高齢者の雪おろし支援などに要する経費が多額に上る地方公共団体、これは大変皆さんお困りだと思っております。そうしたところに対しては、特別交付税により所要の措置を講ずることとしております。

 この特別交付税でございますけれども、原則としまして、十二月と三月、年二回交付することにしているわけでございますけれども、ことしの冬の豪雪が大変深刻なことを踏まえまして、災害救助法適用団体など八十五の市町村を対象にしまして、三月に交付すべき特別交付税の一部を、約七十九億円でございますけれども、これを繰り上げて交付するということにしております。明日に交付決定を行いまして、二月の九日に交付をする予定にしております。ちなみに、豪雪、大雪のためにこのような繰り上げを行うのは初めてのことでございます。

 さらに、三月分の特別交付税の算定がございますけれども、これは、地方公共団体からよく事情をお聞きいたしまして、財政運営に支障が生じないように適切に対処してまいります。



○北側国務大臣 道路はライフラインそのものでございます。今、豪雪地帯の住民の皆さん、また、地方団体の皆さんがこの道路の除雪に連日連日大変な御苦労をされていることは、本当に頭が下がる思いでございます。

 予算面においても、当初予定した予算がもうないというふうな自治体もたくさん出てきておりまして、道路の除雪費につきましてしっかりと支援をさせていただきたいと考えております。道府県関連道路につきましては、一月の十三日に百六十九億円緊急配分いたしました。市町村道の除雪費につきましては、先般、事業費約五十五億円ということで緊急措置をいたしました。

 二月の下旬、今月の下旬にもう一度きちんと除雪状況等につきまして再調査をさせていただいて、さらに必要な支援措置を講じてまいりたいと考えております。



○井上(義)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 今回の豪雪の被害は、御承知のように、高齢者に集中したことが大きな特徴でございます。亡くなった方の七割が六十五歳以上の高齢者でございました。豪雪地帯の過疎化、高齢化、今後ますます進展する中で、この高齢世帯の屋根の雪処理の問題でありますとか、あるいは過疎集落の雪処理体制や交通網の確保でありますとか、あるいは、積雪期の過疎地域における医療体制の確保といった問題点がクローズアップされております。

 そういう中で、私は、災害弱者であるそういう高齢者の方あるいは障害者の皆さんの雪害に対する要援護者マニュアル、これが必要ではないかというふうに思っておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。



○沓掛国務大臣 今委員がおっしゃられた件につきましては、災害時における要援護者の避難支援に対するガイドラインというのを昨年三月に作成いたしました。それは、一昨年、一連の大水害等によりまして福井、新潟で大きな被害を受け、高齢者の方が多く亡くなりましたので、それを契機として、昨年三月につくらせていただきました。

 内容としては三つに分かれておりまして、第一項目で、体制を整備していただく、市町村においてその援護者のための室や班をつくっていただく、それから二番目には、そういう要援護者のリストアップをしていただく、それから三番目に、その一人一人に対してどのように避難支援をしていくかということを決めていただくという形で、一応ガイドラインという形でつくらせていただいております。

 もちろんこれは、今先生、豪雪時ということですが、災害時もほぼ似たようなことでもあり、高齢者に対しての要援護ということについても、要援護者という形で大体網羅できているのかなというふうには思いますが、先生が今おっしゃられましたような、除排雪とかいろいろなことも含めたそういう中での対応というと少しこれよりも枠が広いのかなというふうな思いもいたしますし、先生はよく法律の話もなさいますが、これはあくまでも通達という形で、消防庁と内閣府の通達として市町村に出させて、今、そういう取りまとめを一生懸命やっているところでございます。



○井上(義)委員 雪害ということに着目した要援護者のマニュアルをぜひつくっていただきたいと、改めて要望しておきたいと思います。

 この雪害というのは、地震とか風水害に比べて、いわゆる突発的に来るというよりも、ある程度予測可能な自然災害であるというところに私は特色があると思うんです。積雪予想だとか積雪量に応じてさまざまな対策をとり得るということを考えますと、今後高齢化とか過疎化が進む中で、ハード面、ソフト面、さらにはまちづくりの観点からも我が国の豪雪対策を再点検する、それで、雪害の予防、応急対策などの総合対策を検討する必要があるんじゃないか、このように考えます。

 また、今回の豪雪の対応を通じて、従前の豪雪対策特別措置法とかあるいは災害救助法では対応し切れないという事態が生じています。私は、新たな法整備が必要ではないか、このように考えているわけでございますけれども、この雪害から国民を守るための今後の取り組みにつきまして、ぜひ総理、お考えがあればお示しいただきたい。



○小泉内閣総理大臣 ことしは、例年になく大雪、寒波等被害に遭われている方も多いわけであります。亡くなられた方も大変多い、こういう状況も踏まえてできるだけの措置をしていきたい、また、将来、ことしの被害等を十分踏まえて、今後被害を最小限にする対策ということもしっかり取り組んでいきたいと思っております。



○井上(義)委員 次に、人口減社会への対応についてお伺いしたいと思います。

 昨年は戦後初めて人口が減少いたしまして、当初の予測より早く人口減社会に突入をいたしました。この最大の要因は出生率の低下ということにあると思います。昨年生まれた子供の数は百七万人でございます。このまま推移をいたしますと、これは人口問題研究所の低位推計ですけれども、二〇二五年には六十八万人、二〇五〇年には四十三万人と、出生数は現在の半分以下になってしまうわけでございます。ちなみに私は、団塊の世代、昭和二十二年生まれですけれども、二百五十六万人生まれておるわけでございますから、大変な減少ということになるわけでございます。

 小泉改革の大きな目的の一つは、後世代に負担を残さないということであると思うんですけれども、しかし、このままでは、たとえこの構造改革に成功し、経済が復興して持続可能なすばらしい国ができた、しかし伝える子供がいないということになりかねないわけでございまして、私は、この国の未来を私たちの子供に残すということを望んでいるわけですけれども、そのためには、どんなに困難でも出生率の低下に歯どめをかけなければいけない、このように思っているところでございます。

 そのためには、これまでの対策の延長ではなくて、社会保障、税制、あるいは働き方、教育、あらゆる面で総合的な社会のあり方を変えていく、私たちはそれを、チャイルドファースト、いわゆる子育て、子供が生まれ育てることを優先する社会に大きく転換をしていかなければいけない、それが私は、人口減のスピードを緩めて我が国の新たな活力を生み出すチャンスだ、このように思っているわけでございます。

 そこで総理に、まず、この人口減社会というものをどのようにとらえ、そしてどのようにこれに対応されようとしているのか、お考えをお伺いしたいと思います。



○小泉内閣総理大臣 我々の子供時代、五十年前、六十年前が、大体一年間二百五十万人ぐらいの赤ちゃんが生まれていたけれども、去年一年間の赤ちゃんの生まれた数が百十万人を切ったということでありまして、今、井上政調会長が言われたように、これが、将来このままの趨勢が続くと五十万人を切る、これは何としても食いとめなきゃならない、この少子化の流れを変えていかなきゃならないということで、政府としても各方面と協力しながらこの少子化対策を展開しておりますが、私が就任以来、やはり、男の仕事は外、男は仕事、女性は家事、育児、そういう時代じゃない、男も女も、仕事も家事も育児もやる時代に入ったということから、男女共同参画時代、こういうことで、できるだけ女性の社会進出を支援していこうと。

 そこで、一番今働いている女性が希望しているのは、保育園に入りたくても子供を預けられない、これがもう最優先事項だという要望が私のところに寄せられました。それではということで、最初の所信表明でも、今は十五万人の待機児童がいるから、これを三年間でゼロにしましょうと目標を掲げて、それを実現しましたけれども、いざその目標が実現してみると、十五万人じゃ足りない、まだ待機児童がいるからということで、それでは必要な予算をつけましょうということで、新たな予算をつけております。

 待機児童ゼロ作戦をこれからも続けていきますし、同時に、最近は、保育園のみならず、学校に通ったお子さんが、学校から帰ってきて、親が仕事に出ていますから、一人でうちへ帰る。この午後二時から、大体学童が、小学生が家に帰ってくる、親がいなくてどうしようか。午後二時から六時までというのが今までの考えでありましたけれども、ところが、六時には親御さんは帰ってこない。会社で早引けするか残業しない、すぐ帰ってこなきゃならない。これはやはり現実とは違うんじゃないかということで、最近は、午後十時までが大事なんだと。

 午後二時から夜十時まで、これは、現場の人の声を聞きますと、魔の八時間と呼んでいると。何だって、魔の八時間。それは、小学生が学校から帰ってきて一番悪に染まりかねない危険な時間だから、子供にとって午後二時から夜十時までの八時間が魔の八時間なんだと。

 こういう、単なる保育の待機児童ゼロ作戦だけじゃなくて、学童保育から地域の人が、この二時から夜十時の間に、親御さんが帰ってこなくても、子供は社会の宝だという意識を持って協力して、悪に染まらないように対策を展開できないかということで、今、それに向けて、魔の八時間対策にも、民間の協力を得ながら、地域の協力を得ながら、政府として何ができるかということを展開しているわけであります。

 いずれにしても、社会全体で子供を育てていこう、支えていこうと。子供を初めて持って、昔だったら、親に相談する、おじいちゃん、おばあちゃんに相談する。それが、親がいない。初めて子を持って若い親御さんが、泣いただけで戸惑っちゃう。これも困るから、そういう家族の少ない親御さんに対してどういう支援の手あるいは相談に乗るかということも考えていかなきゃならない。

 各般の対策を講じてこの少子化の流れを変えていこう、そして、子供の健全な教育のために地域がどのような支援ができるか、それを全体で考えていこうということをさらに強化していかなきゃならないと思っております。



○井上(義)委員 先ほど申し上げましたけれども、チャイルドファースト社会、これは和製英語で私どもの造語でございますけれども、いわゆる子供が生まれ育つことを優先するような社会の構築をしなければいけないということで、具体的な改革のあり方については、少子社会トータルプランということで何とかこの春までに取りまとめたい、こういうふうに思って今検討しておりますけれども、きょうは、その検討内容を踏まえて、働き方の見直しと経済的支援、この二つに絞ってちょっとお伺いしたいと思います。

 まず、育児休業制度があります。徐々にこれを備える企業がふえてきていることは大変結構なことだと思います。ただ、我が国の現状ですと、たとえ職場復帰できたとしても、やはり現役時代の職場には戻れないという心配がある。そういうことから、なかなか育児休業はとりづらいという状況があります。

 職場復帰を円滑に進めて育児休をとりやすくするということがまず第一ですけれども、その上で、在宅ワークや短時間勤務、あるいはフレックスタイムなど、弾力的な労働時間や勤務形態を認めることも選択肢の一つとして整備すべきではないか、このように思います。また、再就職のための相談、教育訓練、就職あっせんなどのワンストップサービスを充実すべきだ、このように思いますけれども、厚生労働大臣、どうでしょうか。



○川崎国務大臣 御指摘のとおり、社会全体が、働く若い夫婦そして子供を持つ夫婦をどう受け入れていくかということに尽きるだろうと思っております。

 特に、女性が勤めていて、子供が生まれて仕事から引かれてしまう。その場合に、なかなか仕事に復帰しにくい。したがって、できる限り仕事を続けていただきたいというのがまず第一の政策であろう。したがって、三歳までの子を養育する労働者に対し、第一に短時間勤務、それからフレックスタイム制、それから時間外労働の免除等を義務づけております。

 また、三百一人以上の大企業に対しましては、次世代育成支援ということで、企業全体でどうとらえていただけますかという計画を書いていただくことになっております。公表しても構わぬという企業がいらっしゃいましたら、それを私どもの方から各所の企業に逆に公表させていただいて、こういう企業がそういう若い夫婦を支えていますよということを公表していきたい、このように思っております。

 それから、今御指摘があった、今度は、一たんやめてしまったという方々については、マザーズハローワーク、そういう意味ではそういう方々専門のハローワークをつくって、そこで新しい仕事についてもらうということを支援していく。

 いずれにせよ、複合的にさまざまな政策を進めていかなければならない、このように思っております。



○井上(義)委員 それからもう一点、有給休暇を子育てのために活用できないかということでございます。

 年次有給休暇の消化率は、二〇〇〇年には五〇%を割り込んで、現在四六・六%まで低下しているんですね。この有給休暇を、例えば時間単位の取得を可能にするとか、あるいは一定以上の連続休暇を認めるというようなことで、この有給休暇を子育てのために有効活用できるような仕組みにするということも有効な手段だと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。



○川崎国務大臣 この一月の二十七日にまとめられました今後の労働時間制度に関する研究会報告書におきまして、今、井上委員御提案の年次有給休暇、これを一日単位でとるのではなくて、三時間ずつとっておけ、こういう話、それからまとめてとれぬか、それからフレックスタイムの活用ということでまさに提言をいただいて、これからどのように具体的にしていくかという段階を迎えている、こういうふうに理解をいたしております。



○井上(義)委員 ぜひ実現をしていただきたい、こう思います。

 それから、結婚、出産を機に退職して、その後パートとか派遣で働く女性、これは、育児休業や保育所などの面で非常に不利益をこうむっているわけでございます。

 育児休業法の改正、平成十六年で、条件つきでパートの方への適用を認めたり、また、週二、三日程度子供を預かってもらう特定保育事業の導入などでこのパートタイマーの方々の子育て支援が少しずつ前進していることは歓迎すべき動きだと思いますし、今後さらに充実すべきだというふうに思います。

 やはり、このパートタイマーの方とかあるいは派遣労働者の労働条件の待遇改善とか、さらに、希望者にはパートから正社員へ転換できるような仕組みや、正社員並みの教育訓練が受けられるような環境整備をするということも私は子育て支援の大変重要な方法だと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。



○川崎国務大臣 今言われたことも必要な条件整備であろうと思っております。

 パートタイム労働者が必要な教育訓練を受けられるようにするとともに、一定の条件のもとに正社員に転換できるという環境を整備していくことが極めて大事なことだと思っております。

 さらに、平成十八年度予算において、パートタイム労働者から正社員への転換制度の整備や正社員との均衡を考慮した教育訓練の実施について、新たに助成金の支給対象とするなど、事業主自体へ、こうしたことを採用する事業主へ支援していくというようなスキームをつくりながら、いずれにせよ、パートタイム労働者の就業環境の整備に全力を尽くしたいと考えております。



○井上(義)委員 次に、経済的な支援の充実ということについてお伺いしたいと思います。

 子育て世帯は、医療費とか教育費あるいは住宅費などの負担増とともに、結婚、出産によって女性の七割が仕事をやめざるを得ない。したがって、世帯収入が低下をして家計は一層苦しくなる。また、都市化とか核家族化に伴って、先ほど総理からも御指摘がありましたけれども、地域の子育て機能が低下している。あるいはバブル崩壊以降、企業も効率化優先で、子育てに係る負担を縮小してきた。こういったことが子育て家庭の負担を増大させ、少子化に拍車をかけてきたのではないか、このように思うわけでございます。

 もちろん、少子化対策ということについては、世帯の状況とか年代におけるさまざまなニーズがあって、それらを重層的に組み合わせていくということは非常に大事なんですけれども、やはり、経済的支援を求める子育て世帯のニーズというのは極めて高い。そういう意味で、経済的支援にはいろいろあるんですけれども、その柱となる児童手当の抜本拡充ということについてお伺いをしたいと思います。

 まず、十八年度予算において、児童手当を拡充するということを予算に盛り込んでいるわけでございます。法案提出はこれからだと思いますけれども、その概要についてまず確認をしておきたいと思います。



○川崎国務大臣 昨年の折衝におきまして、自民党、公明党の政調会長、井上先生もですけれども、それと財務省、総務省、厚生労働省入りまして、児童手当の拡充において議論をいたしました。

 対象範囲を拡大できないかということで、一つは、小学校三年生から六年生まで支給範囲を上げる、それから、経済的な要件をできるだけ省くということから、九〇%まで拡大ということで決着をいたしまして、今回の予算として計上させていただいているところでございます。



○井上(義)委員 ここに表がございます。これは児童手当のこれまでの沿革でございますけれども、昭和四十六年にこの児童手当が創設をされました。最初は、第三子以降義務教育終了前、月額三千円ということだったんですけれども、対象児童を拡大しようということで、平成四年に、現在の一番もとになっている第一子まで拡大をして、そのかわり三歳未満ですよと。そして第一子、第二子を五千円、第三子以降は一万円、こういう制度になりました。

 対象数それから予算でいいますと、平成十二年の改革までは、ほぼ三十年間、児童手当は事実上もう前進してこなかったわけでございます。それが、平成十二年に義務教育就学前まで拡大をする、それから、平成十六年に小学校三年生まで拡大をする、そして平成十八年、ことし、小学校修了時まで拡大をし、なおかつ所得制限も九〇%まで拡大をするということで、飛躍的にふえたわけでございます。

 これは事実だから申し上げますけれども、公明党が連立政権に参加したのは平成十一年でございまして、必死になって公明党が児童手当の拡充ということを訴えてきてこれが飛躍的に増大をしたというのは、これは事実なので申し上げます。

 しかしながら、この拡充のたびに、やれ児童手当はばらまきだということで批判されて、特に、野党の中でも民主党の皆さん、もうことごとく反対でした、この法案には。多分、今回の改正には反対はされないというふうに私は思っておりますけれども、児童手当が軽視をされてきた。

 その理由としては、やはり少子化対策というのはさまざまな政策を複合的に組み合わせるものであって、児童手当はその一部にすぎないんじゃないかという考えもある。あるいは、児童手当は現金支給で、やはり拡充となるとその財源が非常に大きい、どうしてもちゅうちょをしてしまう。あるいは、この児童手当を含めて経済的な支援というのは、少子化対策にどの程度効果があるのかということを検証してこなかったというようなことがあって、なかなかこれを拡大するということが難しかった。このように思うわけでございますけれども、児童手当のこれまでの経緯について、厚生労働大臣、どのような感想をお持ちでしょうか。



○川崎国務大臣 少子化対策に成功しましたイギリス、フランスの例、それから、残念ながら我が国と同様に苦しんでいるドイツの例、いろいろな例をとりまして議論をしているわけですけれども、基本的に、児童手当だけで少子化対策になるというのは、なかなか数値的には難しかろうと考えております。

 今御議論いただきました雇用の問題、それから保育の問題、複合的に組み合わせることによって成果が上がったのがフランスという国であろうと思います。たしか、最近の発表では、一・九四まで回復をした。一方で、ドイツの場合は、児童手当は第一子から二万一千円をたしか超えておりますので、ヨーロッパの中でも一番トップを走っているだろうと。しかし、保育関係についてはなかなか考え方が違う。我が家で育てる、こういう意識が強うございますので、ドイツではなかなか保育の設備が整っていないということから、我が国と同様の一・三という状況にあるというのが事実でございます。

 そういった意味では、児童手当の拡充にあわせながら、保育それから雇用の環境、こういうものを複合的に整えていくというのが大事な仕事であろうと思っております。



○井上(義)委員 厚生労働大臣のおっしゃるとおりでございます、重要なファクターがやはり経済的な支援と。フランスの例を見ても、いわゆる経済的支援とそういう保育支援というのが、相乗効果で今一・八九ぐらいまでV字カーブで出生率が回復しているという例を見ますと、やはり、この児童手当というのも一つの大きな柱でなければいけないというふうに思うわけでございます。

 政府も、少子化対策会議のもとに専門委員会、推進会議を設置して今検討していただいておりますけれども、国民的なニーズも踏まえて、児童手当を含めた幅広い経済的支援のあり方について精力的に議論をしていただき結論を出していただく、与党も、それを受けて何とか骨太に反映させるべきじゃないかな、このように思っておるわけでございます。

 総理も、施政方針演説で児童手当の拡充について言及されておりますけれども、今般の児童手当の拡充、そして今後の児童手当の役割について、総理のお考えをお伺いしたいと思います。



○小泉内閣総理大臣 確かに、児童手当だけ拡充すれば少子化の流れが変わるかというと、それだけではないと思います。各府省連携してさまざまな施策が必要ではないかと思っております。

 今回、公明党の格段の努力で、児童手当拡充、実現いたしましたけれども、まだまだ足りないという声もあります。そういう点も踏まえて、今後、各府省連携してさまざまな、子供を持っても、働きながら子育ての喜びが感じられるような環境整備がより重要になってくると思っております。



○井上(義)委員 児童手当を抜本的に拡充しなければいけない。少なくとも、現行を金額的には倍、今は五千円、五千円、一万円ですけれども、一万円、一万円、二万円ぐらい、また、中学校三年、義務教育終了まではぜひ抜本拡充をしたいというふうに思っております。

 その場合に、これは御提案なんですけれども、やはり子供に視点を当てた経済的支援の仕組みとする。要するに、税による施策から給付による施策へ一元化して抜本的に拡充するということが大事なんじゃないかというふうに思っています。要するに、個々の家族構成等の実情に基づいて人的控除を行う、こういう今は税制措置になっていますけれども、ナショナルミニマムとして子供の健全な育成に国が一定の責任を負う、こういう考え方から、給付による支援に切りかえるべきじゃないか、このように思っているわけでございます。

 その際、主要な財源は、私は、人的控除の中の扶養控除、これを廃止して支給に改める、こういう考え方が一番いいんじゃないか。今、どうしても控除ですと、収入の高い人ほどいわゆる恩恵が大きいわけです。所得控除による恩恵です。これが児童手当なんですけれども、要するに、収入の少ない人は恩恵がない。

 ところが、子育てというのは、収入が高かろうと低かろうと、同じようにやはり子育てというのは重要なわけでございまして、今度、税制を抜本改革して支給対象を拡大し、また所得制限も撤廃する、支給に全面的に切りかえる、このことによって財源を捻出する、あるいは財政改革によって財源を捻出する、そういう中で抜本的な児童手当を実現すべきではないか、このように思いますけれども、財務大臣、どのようにお考えでしょうか。



○谷垣国務大臣 今までは、子育て支援、特に子育て家庭に対する経済的支援をどうするか、いろいろな議論、公明党でも熱心に議論をされてこられました。それで、今は税のことをおっしゃいましたが、現行は所得控除というやり方でやっておりますので、それは結局、子供がいると税を負担する能力が低くなるだろうという観点からの調整ということで行われております。

 では、それをどういうふうにしたらいいのかいろいろ議論がございまして、より財政的支援という形がはっきり出るような税額控除に持っていったらどうかというような御意見もあるわけですね。さらに、今は児童手当との関係でおっしゃったんですが、財政面での支援という形に持っていくべきではないかという御議論もあろうかと思います。国によっても違いまして、アメリカはどちらかというと税中心、ドイツなどは税と財政の組み合わせという形でやっているように思います。

 私どもとしては、その辺は十分、今までの効果の検証という議論もありましたけれども、そういう効果の検証、それから諸外国の効果等もよく見て議論をしていきたいと思っております。

 もう一つは、やはりしかし、先ほどからの御議論でございますけれども、結局、公債発行によって、次世代、子供たちを支援しながら子供たちにツケを残すという形も余りよくない。そのあたりをどうバランスを図っていくか、よくよく議論をさせていただきたいと思っております。



○井上(義)委員 あくまでも子供に着目して子供を中心に考える、そういう意味で、今の税控除という家族という考え方から、子供を育てている人に着目してそこに現金支給する、こういう考え方に抜本的に転換をすることが、私は、国が子育てについて責任を負っているというメッセージを明確にできるんじゃないか、そういう意味で御提案申し上げたわけでございまして、今後引き続き協議をしていきたい、こう思っております。

 次に、がん対策についてお伺いをしたいと思います。特に、きょうは、日本のがん対策のウイークポイントと言われております緩和ケアと放射線治療を中心に質問と提案をさせていただきたい、こう思っています。

 我が国の年間死者数は約百万人なんですけれども、そのうち、がんによる死者は約三割に当たる三十万人、いわゆる死亡原因の第一位でございまして、まさに国民病でございます。そういう意味から、やはりがん対策というのは国家戦略として取り組むべきではないか、このように私は認識をしているわけでございます。

 このがん対策としては、診断、治療の向上ですとか、あるいは均てん化、あるいは情報開示、さらに、がんのメカニズム解明に向けた研究の推進等、課題はたくさんあるわけですけれども、まず、この均てん化ということについてお伺いしたい、こう思います。

 人間の一生で見ますと、いろいろな説がありますけれども、二人に一人はがんになると。これは、高齢化に伴ってリスクが大きくなるわけですから、そういうことだと思いますけれども、そして、三人に一人ががんで亡くなる、このように言われているわけでございます。

 問題は、がんの診断、治療の地域格差、病院格差なんですね。厚生省の研究班の調査ですと、病院によって、治療後五年生存率、これが六四%から五二%で、一二%の開きがあるというふうにデータが出ています。このがん医療水準の均てん化へ向けた診療格差の是正が迫られているわけです。どこに住んでいても各患者に最適の専門医療が受けられる、そういう均てん化に取り組む必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、厚生労働大臣、いかがでしょうか。



○川崎国務大臣 まず、がん診療の連携拠点病院、各都道府県につくっていただくということでお願いしておりますけれども、先日、NHKで御指摘いただきましたように、七県がまだ未達成という状況にあります。早くやっていただくようにお願いをいたしております。

 その上で、できるだけがんセンターの能力を高めるということは、私は第一に大事であろうと思います。高めたがんセンターに研修に来ていただく。実は、放射線治療とか内科のがん専門のお医者さんを早く育てるべきではないか、そういう御議論があるんですけれども、まだ正直言って育っておりません。そういう意味では、今、がんの診療の現場にある先生方にできるだけがんセンターに来ていただいて研修をしていただく、その上で、地域にお帰りになって、今度は、地域の病院と連携をとりながら地域の均てん化を図っていくということが一番大事であろうと思っております。

 そういった意味では、がんセンターの能力を高めますと同時に、研修体制をきちっと整え、そして、地域拠点病院というものをしっかりつくり上げた中で、全国津々浦々まで行ける体制を整えてまいりたいと考えております。



○井上(義)委員 その次に、がんの情報開示ということですけれども、がん情報は、ITの普及によってネットで広く提供されております。しかし、必ずしも有効と言えない、こういう患者の皆さんの声がございます。患者の皆さんあるいは家族が必要としているのは、病院における医療機器の保有情報であるとか、あるいは治療の成績、あるいはがん専門医の有無、あるいは世界の抗がん剤の現状、こういったことを必要としていらっしゃるわけでございます。

 さらに、身近に相談できる窓口とか、あるいは納得のいく治療を受けるために気持ちよくセカンドオピニオンを求めることができる、こういうことが患者のニーズとしてあるわけでございまして、そういう患者のニーズを踏まえたがん情報開示の仕組みというものを早急に整える必要があるんじゃないか、このように思いますが、厚生労働大臣の考えを伺いたいと思います。



○川崎国務大臣 まず、がんのさまざまな状況を、がんセンターと拠点病院が一つのネットワークになりながら、日本のがんのさまざまな要因また治療方法、これをまず情報化することが第一に必要であろうと思います。

 がんの拠点病院に今度逆に地域の皆さん方が御相談に行ったときに、さまざまな対応、相談ができるような体制も整えていく。そこが、例えばセカンドオピニオンにいたしましても、自分の病院に聞いているんだけれども、拠点病院に一度相談しながら、もう一人の方から御意見をいただくということも当然大事になってまいるだろうと思います。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、やはり地域ネットワークをきちっとつくり上げることが今喫緊の課題であると考えております。



○井上(義)委員 次に、放射線治療につきましてお伺いしたいと思います。

 がん治療の方法は、その種類とか進行度によって異なるわけでございます。主に、手術、あるいは抗がん剤による治療、それから放射線治療、この三つがあるわけでございますけれども、最近、がんの罹患部位の変化などから、放射線治療の重要性が非常に高まっているという指摘がございます。従来、非常に日本で多かった胃がんとか子宮がん、これが、診断や治療技術の進歩によって死亡率がだんだん下がってきている。それに対して、一方で、食生活とかライフスタイルの変化によって、大腸がんとか肺がんとか乳がん、あるいは前立腺がんといった、いわゆる放射線治療が有効ながんが増加をしているわけでございます。

 ところが、日本の放射線治療医は現在五百人弱しかいらっしゃらない。放射線の腫瘍学講座があるのは京都大学あるいは慶応大学など全国十二大学にしかすぎないということで、毎年、がん患者の三割に当たる十六万人の方が治療を受けていらっしゃるんですけれども、アメリカではこれが七割に近いという現状でございます。放射線治療医が少ないために、海外では放射線治療が標準的な治療、そういうふうにされる場合でも、日本では、その放射線の専門医が少ないものですから、手術をされるというケースがある、そういうことは珍しくないという指摘もあります。放射線治療の専門医の育成というのは私は喫緊の課題じゃないかな、このように思うわけでございます。

 また、昨年、旧の国立弘前病院で過剰照射事故があって、訴訟になりました。これは示談で解決したんですけれども、かなり多額な額で示談が成立をした、こう伺っております。やはり、こうした事故の原因に、いわゆる放射線治療の品質を管理する人材の不足があるんじゃないか、このように言われているわけです。

 例えば、米国では理工系の専門家が放射線治療の現場に五千人以上いて、これに携わっている、ところが、日本の場合は医師とか技師が兼務していて、専門の人はもう三名程度しかいない、こういうふうに伺っているわけでございまして、こうした放射線専門医あるいは放射線治療に関する専門の人材をどうふやすか、このことについて今厚生労働省はどのように取り組んでおられるか、官房長官、もし御意見がありましたら。



○川崎国務大臣 井上委員御指摘のとおりでございまして、我が国のがん医療、基本的には、外科医の先生方を中心にしながら積み上げてきた。放射線治療や抗がん剤治療の専門医の数が基本的に足りないという現状にございます。

 したがって、先ほどお示ししましたように、やはりがんセンターへ研修に来ていただいて、今がん治療に当たっていられる方々が現実にこうしたものをこなせるように、抗がん剤等の利用をこなせるような形、そういう意味では、外科医の先生方にこういう仕事もしてもらうということになるかもしれません。しかしながら、最終的には専門医を養成していかなきゃならぬだろう。もっと言えば、外科、内科と言わずに、がんという病気に着目した専門医を育てていくということが大事だろう。やっとことしそれが、一期生が出てくるというところでございます。

 いずれにせよ、関連学会としっかり詰めながら、人材の養成、もちろんこれは厚生労働省と文科省も関係してまいるかと思いますけれども、しっかりやってまいりたいと思っております。おくれておりますことはまことに申しわけないと思っております。



○安倍国務大臣 先般、放射線治療の専門医の先生からお話を伺ったわけでありますが、まさに委員御指摘のように、放射線の専門医が非常に少ない。今でも少ないわけでありますが、欧米の治療を見てみますと、いわゆる手術による治療、そしてまた抗がん剤等による化学療法、そしてまた放射線療法があるわけでありますが、非常にこの放射線が重視をされているわけでありまして、特に前立腺のがん等においては、手術に匹敵するというか、手術以上に放射線による根治が行われているわけでありまして、日本におきましてもしっかりと患者さんたちにインフォームド・コンセントをしていく、またあるいは、セカンドオピニオンを受けやすい状況をつくっていくことによって放射線治療を受ける、また選択をする人も欧米並みにふえていくことも考えられる。そうなりますと、今よりももっともっとこれは需要がふえてくる、今の人数ではとても足りなくなってくるということになるんだろうと思います。

 その点につきまして今は川崎大臣からお答えをしたとおりでありますが、さらに、例えば診療報酬におきましても、がん診療の連携拠点病院をさらにしっかり中医協の中で評価をしていくということになっておりますが、その中でも、この放射線治療について適切なこれは評価も必要ではないだろうか、このように思っております。



○井上(義)委員 次に、緩和ケアの問題についてお伺いしたいと思います。

 先般、東大病院の緩和ケア部長をされています中川先生にお話を伺いました。先生の御指摘もあったんですけれども、これは、がん治療とともに、がんに伴う症状や痛みを、特に痛みをコントロールする緩和ケアを施すということが、患者の人格を尊重し生活の質を高めるために大変重要であるという指摘がございました。

 ちょっとパネルを。これはその中川先生からいただいた資料なんですけれども、要するに、日本のがん医療というのは、上にあるように、がんの治療ががん末期まで続く。あなた、もう助からないよ、こうなったときに初めて緩和ケアが始まる。要するに、もう本当に痛み苦しんで一生懸命がん治療をやる、あるとき、あなた、もうだめよと言われたらようやく緩和ケアに入る、こういう仕組みになっている。

 ところが、やはり緩和ケアというのは、要するに、がんというふうに言われたその日から痛みを取り除いていくということは、その患者の人格を尊重することにもなりますし、それから生活の質を高めるということで、極めて重要で、本来、こういうふうにがん治療と緩和ケアを同時に進めていく、患者のクオリティーを高めながらがんに挑戦していくという仕組みに大きく転換すべきじゃないか、こういう御指摘がございました。

 私も、患者の皆さんの話を聞いたり専門家の話を聞いたりして、なるほどそうだなということを思ったわけでございますけれども、本来こういう図式が望ましいんじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。



○川崎国務大臣 今の御指摘もそのとおりでございます。

 終末期だけでなく、治療の初期段階から積極的な治療と並行して痛みの除去等を行うことが重要と考えております。そのため、早い時期から痛みの除去等を実施することの重要性について医療従事者の認識を高める、そういう意味では、まだまだ認識をしていない医療従事者もあるという逆論になりますけれども、そこをしっかりやっていかなければならないと思っております。

 緩和ケアにつきましては、医療従事者等の研修事業、医療臨床研修制度において基本的な緩和ケアができることをその到達目標の一つとすること、がん緩和ケアに関するマニュアルの作成、普及、在宅医療における緩和ケアに必要な麻薬が適切かつ円滑に提供される体制整備等を通じて、緩和ケアの普及と医療従事者の知識、技術の向上に取り組んでまいりたいと考えております。



○井上(義)委員 今、厚生労働大臣の御答弁のとおりだと思います。

 イギリスでは十年前から国家戦略としてがんに取り組んで、この緩和ケアというものをがん治療の中心に据えてきた。まさに先ほどの図式のような治療方法に大きく転換をしてきたということで、今ではどこの病院でも緩和ケア専門の外来がある。この十年間、国がリーダーシップをとって緩和ケアを進めて、生活の質の向上を図ってきたということでございます。

 今、厚生労働大臣からも指摘がありましたけれども、がんの痛みをとるには、例えば、放射線治療のほかに、医療用の麻薬であるモルヒネを使うことに非常に効果がある。それで、医療用の麻薬を使って痛みを緩和する方法は国際的にも確立している。しかしながら、我が国では、どうしても偏見や麻薬中毒への警戒から使用がおくれてきているということで、ここにモルヒネの国別使用量の年次推移というのがあるんですけれども、日本のモルヒネの消費量というのは、これが日本です、先進国で最下位、カナダ、オーストラリアに比べると五分の一しか使っていないということで、非常に大きな問題だと思います。

 そういう意味で、こういうモルヒネの使用等も含めて、緩和ケアの教育とか普及システムとか、これを抜本的に確立しなければいけないんじゃないか、患者のクオリティーを高めるということをこのがん対策の柱の一つに据えなきゃいけないんじゃないかということで、改めて厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。



○川崎国務大臣 全くそのとおりでございまして、先ほど申し上げました、まず医療従事者が全体的に理解をすることが第一だろうと。それからもう一つは、やはり社会全体が今までの概念とは少し変えて、麻薬の適切な使用というものを緩和ケアに使っていくということをお互いに理解することは大事だろうと。こういうまさに予算委員会の場を通じて国民の皆さん方も少し御理解をいただけたのではなかろうかな、こう思っております。



○井上(義)委員 最後に総理にちょっとこの問題をお伺いしますけれども、米国は、一九九〇年代に入ってがんの死亡率を大きく下げることに成功しております。その原動力というのが、実は一九七一年当時、ニクソン大統領が、がん制圧に向けた国家戦略、いわゆるがん戦争宣言というのを立ててがん対策に取り組んできたということがございます。私は、アメリカが国を挙げてがん対策に取り組んでその結果を出したということに学ぶべきじゃないかな、こう思っています。

 そのためには、まず一つは、いろいろ指摘されていますけれども、がん患者の罹患とかあるいは死亡を踏まえた実効性のあるがん攻略のアプローチが必要だと。そのためには、まず正確な実態把握が必要だということで、実はがん登録というのが極めて重要なんですけれども、今日本では、地域がん診療拠点病院の院内がん登録などの仕組みはありますけれども、届け出は義務化されておりませんし、登録漏れも多くて、極めて不十分。したがって、国の制度として法律で位置づけて、精度の高いがん登録体制を確立すべきだという指摘がございます。

 さらに、がん制圧計画の策定とか検診の推進などを柱とした日本版のがん対策法、いわゆる総合的ながん対策法というものを検討してはどうかな、このように御提案申し上げるわけでございますけれども、総理に、このがん対策に取り組む御決意についてお伺いしたいと思います。



○小泉内閣総理大臣 がん対策の重要性については、今までも対がん十カ年戦略とか、現在においては第三次がん対策で、死亡率一位になったがんにどのような有効な手だてがあるかということで、がんの研究から予防、治療、それぞれ患者さんの声も、また専門家の声も聞きながら、さまざまな対策が必要だという認識の上でやっているわけでありますが、かなり進歩してきた面もあると思います。今や、がんの細胞を見つけると、他のいい細胞を傷つけないで、そのがんに侵された患部だけを退治できるというような治療法とか、さまざまな研究が進んでいるということも聞いております。

 これを法律の制定でやるかどうかはともかく、さまざまな外国の例も参考にしながら、第一位の死亡率のがん撲滅に向けてこれからも十分研究し、今の御提言も踏まえて検討していきたいと思っております。



○井上(義)委員 次に、ちょっと農業問題に入りたいと思いますけれども、その農業問題に入る前に、今回の米国産の牛肉輸入の問題に関連して、農水大臣にお伺いしたいと思います。

 一月二十日に成田の動物検疫所で、我が国では米国から輸入を認められていない脊柱のついた牛肉が確認をされました。これに対して、政府内で連携をして直ちに輸入手続を停止したということは、私は極めて適切な措置であったというふうに思います。

 しかしながら、今回のことで、米国政府が責任を持っている日本向けの輸出プログラムの遵守体制は本当に大丈夫なのか、しっかりチェック体制なり管理体制ができているのか、そういう意味で、この国の消費者の不安が非常に高まっておりますし、また、それを検証できなかった日本のリスク管理のあり方についても問題点が指摘されています。

 こうした中で、先週末に米国農務省の監察官組織OIGが公表した監査報告書の内容、一部報道されていますけれども、その懸念をさらに募らせるものとなっております。この監査報告によりますと、十二の食肉処理施設を対象としているようですけれども、そのうち九施設が特定危険部位除去のための処理結果についての記録がしっかりとなされていなかった、さらに、一つの施設では、この特定危険部位が実際に流通しているかどうかは確認されていないものの、混入されているのが確認をされ、是正したという報告がされています。

 要するに、アメリカ自身、米国政府自身がみずからこうした問題を認めている状況で、我が国の消費者に米国政府が責任を果たしていると言ってもだれも納得できないんじゃないか、こう思うわけでございます。

 今回の問題だとか、あるいは今回の米国農務省の監察官組織の監査報告書の内容をしっかり踏まえて、今後、国民の食の安全、安心の確保についてどう信頼を取り戻していくのか、農水大臣にまずお伺いしておきたいと思います。



○中川国務大臣 井上委員御指摘のとおりでございまして、これは、いわゆるEVプログラムというシステムそのものに問題があったわけではないんですけれども、アメリカ側が、危険部位は日本には入れちゃいけないというにもかかわらず、結果的に成田で発見されたということでございます。

 他方、今御指摘のように、先週末にアメリカの農務省のOIGという独立監察官のレポート、これは一昨年の十月から去年の九月まで一年間かけて調べたということで、これは輸出再開決定前の調査でございますけれども、御指摘のような内容の文書であるというふうに承知をしております。

 いずれにいたしましても、この文書も徹底的に精査する必要はございますし、今はアメリカ側に、発生原因の徹底究明とそれから再発防止についてきちっとした報告書を時間をかけてでもいいから出してもらいたいということで、今待っている状況でございます。

 水際であの十二月の再開のときに抽出率を上げたり、幾つかの精度を上げた作業を日本側もとっておりますけれども、いずれにいたしましても、アメリカ側の報告書を見て、そしてまた日本側としても、その段階からどうしたらいいか考えていかなければいけませんけれども、日本側としても、食の安全あるいは国民の食に対する信頼、特に、米国産牛肉に対する信頼の回復のためにアメリカ側には最大限の努力をしていただきたいと思いますし、また、次の段階に進む場合には、日本側としても、システムが問題なかったんだから日本側は何もしなくていいと最初から決めつけることはやはり排除すべきではないか。少しでも国民の食の安全に対する信頼に寄与できるようなことが政府として何かあれば、政府部内あるいは農林水産省で、これはもうゼロベースでアメリカからの報告書を徹底的に調査した上で、日本としてもさらにやることがあれば、大いにそれについても検討していきたい。

 現時点で具体的に何かということは考えておりませんけれども、常に、食の安全ですから緊張感を持ってやるという意味で、何かあれば対応していきたいという心の準備だけはしておく必要があると思っております。



○井上(義)委員 農業振興についてお伺いしたいと思います。

 総理は、施政方針演説の中で、国産農産物が海外で高く売れているということを紹介した上で、意欲と能力のある経営に支援を重点化し、攻めの農政を進めると、改革推進の強い意欲を明確に示されました。

 国産水産物の輸出を五年間で倍増しよう、こういう取り組みは総理の音頭取りで今後進められていくことになるわけでございますけれども、経済的な効果にとどまらず、生産者の自信と意欲、販売技術の向上につながるもので、大いに評価をいたします。このことについては、これまでの議論の中でもあったとおりでございます。

 しかしながら、我が国の農業、農村が待ったなしの生き残りの瀬戸際に立たされている現状にまず目を向けなければならないのではないのか、何よりも、持続可能な農業の構築こそが喫緊の課題であるということを本日は確認したい。

 日本の農業の現状ということについてパネルにいたしました。ここにありますように、農業人口、この十五年間で、この真ん中の赤いのが農業就業人口なんですけれども、三〇%減っています。それから二番目に、その中で六十五歳以上の人、平成二年は二六・八%でした。平成十七年は五八・六%です。これをこのまま放置をしておきますと、高齢化によって農業をやる人がいなくなる。それから耕作放棄地も、平成二年は二十二万ヘクタールでしたけれども、平成十七年は三十八万ヘクタール、一・七倍にふえています。これが日本の農業の今置かれている現状です。このことをまず確認しておきたいと思います。

 その上で、今回、経営所得安定対策大綱が昨年十月に決定をして、この国会に法案が出されていますけれども、平成十九年から本格的に実施をされるわけでございます。柱の一つである品目横断的経営安定対策、これは、これまで全農家を対象にし、品目ごとの価格に着目した支援から担い手に対象を絞る、そして経営全体に着目した対策へ転換するということでございまして、私は、戦後一貫して推進してきた規模拡大路線をより明確にしたという意味では、いわゆる戦後農政の総決算だというふうに思っています。

 しかし一方で、米の農業総産出額における農家類型別のシェアで見ますと、主業農家の割合はわずか三六%しかありません。先ほどの数の中のさらに三六%。日本農業の中心である水田稲作というのは、準主業農家あるいは副業農家、すなわち兼業農家を含んだ中小規模経営農家によって支えられているわけです。そもそも、この水田稲作というのは、水利調整を初めとして、共同作業を基本に兼業農家を含む多様な担い手が支えてきた、こういう現状がございます。

 今回の施策で、担い手として認められた農家に施策を集中する、これが品目横断的な経営安定対策ですけれども、経営面積規模要件によって生産者を二分することになり、地域の結びつきを弱体化させるのではないか、あるいは、担い手と認められないのではという不安を抱く中小規模農家から、選別政策ではないか、こういう批判があるわけでございますけれども、戦後農政の総決算である今回の品目横断的経営安定対策、これについて総理の基本的な認識をまずお伺いしたい。

 まず農水大臣、答えてください。



○中川国務大臣 井上委員御指摘のように、十九年度から、意欲と能力のある農業者にもうかる農業をやってもらいましょうということでございますから、その一つの手法が、品目横断的な経営所得安定対策でございます。

 これは、もちろん、やる気と能力、意思と能力というのは多くの農業者が持っておられるとは思います。また、そう期待したいと思いますが、すべての農業者に該当するかというと、御指摘のように、これは面積要件がきいてくるわけでございます。と同時に、個々の農家の面積がクリアされない場合には集落営農という手法もあるわけでございまして、これについても、関係者の皆さんは現段階でいろいろな疑問やら不安があることも承知をしておりますが、とにかく農家として、先ほどの攻めの農業じゃございませんけれども、プロの意識を持って、そして、それだけの能力のある個人なり集団がやっていくことによって構造改革がさらに進んでいくということでございますので、全部が全部というわけには、これは認定農業者の中での範囲ということにもなりますし、それから、それぞれが集まって集落営農という形で、組織営農という手法も導入いたしますので、とにかく、その中でもいろいろな例外事項みたいなものも今後幾つか検討することは、もちろん、やる気と能力というものさえしっかりしていれば、できるだけそういうところの実情も把握をしながらやっていきたいと思います。

 いずれにしても、今、井上委員のお言葉をかりますならば、戦後農政の総決算として、輸出も含めて、そしてまた、日本じゅうの中で競争して生き残っていくんだという意欲、ある意味ではビジネスという感覚から、いいものをつくって、そして宣伝していけば売れるんだという農業を積極的に農政の中心に据えていきたいという気持ちでこの作業に今取りかかっているところでございます。



○井上(義)委員 今、集落営農というお話がございました。まさに、日本の穀物自給率、日本の食料自給率、カロリーベースでは四〇%、こう言っていますけれども、穀物自給率は二八%しかございません。これは、言いかえますと七二%を海外に依存しているという状況で、この日本の自給率の低さというのは、私は、食料安全保障の点からも極めて危機的な状況じゃないかと。ちなみに、飢餓が伝えられている北朝鮮でも、実は七八%自給しているということがございます。

 しかも、この低い自給率を、一ヘクタール未満の稲作農家が五〇%を占めている我が国の現状でもわかるように、いわゆる小規模農家が辛うじて支えていると言っても過言ではございません。その意味から、こうした小規模農家が農業から退場させられるようなことになってはならない。そういう意味では、集落営農の集約が円滑に図れるかどうか、これがかぎだと思います。

 農業者の現場では、いろいろ懇談をいたしますと、この集落営農の条件として、例えば農産物の収入や農薬代の支出、つまり財布を一つにする、あるいは、将来法人化しなければならないということでハードルがかなり高いんじゃないのか、こういう声があります。この制度移行をどう円滑に図っていくか、これが最重要だと思いますけれども、農水省としてはどう考えていますでしょうか。



○中川国務大臣 御指摘のとおり、やる気と能力、意思と能力があっても規模が小さい、だからさっさとやめていって結構ですよとは簡単にはならないわけでございまして、農業の果たす多面的な役割というもの、水管理あるいは治山治水といった観点からも非常に重要なわけでございます。

 一方、先ほど申し上げましたように、こういう農家はやはり集落営農という手法をとっていただく、そのときに、組織化あるいはまた技術、経営感覚といったノウハウがどうしてもまだまだレベルが低いという方々で、しかし自分は、これからも集落営農組織の中でやっていきたいんだという方たちに対しまして、十八年度予算におきまして、その集落のリーダーを育成する支援事業でありますとか、あるいはまた経理の責任者を養成するといった人材育成といいましょうか、営農組織のリーダーなり会計責任のプロを目指すような人たちを支援して、そして、組織としての持続性を持ちながら集落営農の中で思い切った経営感覚を持って頑張っていただきたいということを、この一年前の十八年度においていろいろな支援事業を考えたいというふうに思っております。



○井上(義)委員 ぜひ丁寧な対応をお願いしたい、こう思います。

 それから、今回の経営所得安定対策大綱には、もう一つの柱として、農地・水・環境保全向上対策というのが盛り込まれております。二つ柱があって、一つは、環境保全に向けた営農活動への支援ということでございます。いわゆる環境保全農業に対して支援をしましょうということでございまして、私は、本格的な農業環境政策が導入されたという意味では画期的であり、戦後農政の大転換だという評価をしております。

 また、食の安全、安心という視点からも大いに評価すべきでございまして、これまで、表示とか認証とかトレーサビリティーとか、いわゆる消費者サイドの安全確保というのが重視をされてきたわけですけれども、今回は、川上から、いわゆる生産の現場から安全を確保しようということでございますから、食の安全、安心という視点でも大いに評価できるんじゃないか、こう思っています。

 しかし、懸念しているのは、この施策の対象、当初の地域限定から日本全国を対象にしましょうということになったことは評価しますけれども、あくまでもやはり、地域単位の取り組みということが今回の施策の対象になっているわけです。しかし、これまで環境に優しい農業というものを先駆的に一生懸命頑張ってきた、そういう個別の有機農家というのがあるわけです。そういう農家というのは、何とか環境に優しい農業をやろうということで一生懸命苦労してやってきた、それから、社会的信頼性を担保するために第三者認証を取得するという義務を果たしてきた。こういう農家が今回の施策の対象にならないんじゃないかという懸念を皆さんお持ちなわけでございまして、これまで頑張ってきたそういう有機農家をどう位置づけるのか、このことを伺いたいと思います。



○中川国務大臣 御指摘のように、新政策の中で農地・水・環境保全向上対策ということでございますが、まさに井上委員御指摘のように、今までは、有機の農産物、無農薬の農産物を消費者に届ければいい、そのための有機農業の認定があったわけでありますけれども、文字どおりこれは、トータルとして川上から川下まで、そしてまた水系ごとにでありますとか、圃場整備事業ごとにとか、あるいは集落ごとにとか、面的な面でも非常に包括的にやっていくことが大事でございます。

 これは、水管理とか農道の管理とか、そういった機能面だけではなくて、御指摘のように、農村環境の向上という観点からも非常に重要な施策だと思っておりますので、今まで努力してこられた有機農業者あるいは有機農業はまさにこれの代表例、先駆例だと思っておりますので、引き続きこういう方々にもまた大いに参加をしていただけますように支援をしていきたいというふうに考えております。



○井上(義)委員 そういう先駆的な有機農家がこの施策の対象となるような幅広い対応をぜひお願いしたい、こう思います。

 それから、今中川農水大臣からもお話がありましたように、もう一つの柱は、農地や水を守る、資源保全へ向けた共同活動への支援、いわゆる地域資源に対して支援をしましょう、こういう施策が今回盛り込まれているわけです。

 そもそも、農地とか農地周辺の水路、農道というのは、これまでも集落などの地域の共同活動によって保全管理されてきた資源であって、これらを対象とした支援を行うというのがこの施策のねらいだ、こう思います。

 取り組みに当たっては、例えば、あぜの草刈りなどの地域共同による農地資源保全活動に、農家以外の地域の住民だとか、あるいは自治会、学校、NPOなども参加してもらうことが想定されているわけです。過疎化、高齢化に農村地域がさらされているわけでございまして、やはり、この地域資源を守っていく、その受け皿となる活動主体をどうつくり上げていくかということがこれから非常に重要だと思います。それについて今農水省としてはどのように考えているか、お伺いしたいと思います。



○中川国務大臣 御指摘のように、これは農業者だけが参加するものではございませんし、むしろ、地域挙げてあるいは水系挙げてということですから、どなたでもこの趣旨に賛同した方は参加ができるわけでございます。

 しかし、そうはいっても、水管理にしても圃場整備にしても、プロもしくは専門的な知識が必要ということにもなりますので、平成十八年度、準備の前一年の十八年度におきまして、約六百の地域で、モデル事業的にこの組織活動がうまくいくような準備作業、モデル事業をやって、十九年度からの導入が円滑になるようにということで準備をしております。



○井上(義)委員 最後に総理に、農業は生命産業であると同時に、地域のコミュニティー、文化を守っている貴重な産業です。一方、我が国の農業、農村の持つ多面的な機能、この資源価値も非常に莫大なものがございます。例えば、主要な農業用用水路の延長は四万五千キロ、あるいは中小の農業用排水路を含めると四十万キロ、地球十周分あります。これをもう一回つくりかえるとすると二十五兆円かかるんだそうです。

 私は、人口減社会が進行する中で、こうしたすばらしい価値を有した農業、農村をどう維持、継承していくかということと、もう一方で、品目横断的な経営安定対策を初めとした農業の構造改革を実現して、将来にわたり持続可能な効率的な農業経営をどのように構築していくか、このどちらかというと相反するようなテーマを両立することが日本の農業の将来を決定づけるというふうに考えています。

 最後に、農業についての総理の所感、この農業を維持発展させていくということについての決意をお伺いしたいと思います。



○小泉内閣総理大臣 農業は、太陽、土、水、食料供給というだけでなくて、自然環境の恵みを受けて、我々は恩恵を受けているわけであります。

 現在は食料自給率が低くて、世界から農産物が日本に入ってきますが、将来の人口増加、世界的に考えれば、金だけ出せば買えるという時代ではなくなるということも想定しておかなきゃならないと思うのであります。

 そういう面において、農業の重要性をよく認識して、日本のやる気のある農家を育てて、農業の重要性をお互い認識していかなきゃならないと思っております。



○井上(義)委員 時間が参りましたので、あと幾つか用意しておりましたけれども、別な機会に行いたいと思います。

 ありがとうございました。






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